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「こころの病」−その症例とは?

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●うつ病●

実は多くの人が「うつ病」!?
以前は「うつ病」と聞くと、誰もが自分とは関係のない、ごく少数の人に限られた特別な病気として扱われる風潮がありました。また、「こころの病」全般に関する知識や情報も乏しかったため、「うつ病」というだけで、差別や偏見の目で見られることも度々ありました。しかし、現在では、新聞・雑誌・テレビCM・インターネットなどでも「うつ病」という言葉を耳にすることが非常に多くなり、「うつ病」に関する情報も世間で広く知られるようになってきました。
「うつ病」は、誰もがかかる可能性のある「こころの病」です。そして、最近では「こころの病」に関する情報が普及したことにより、自分が「うつ病」であることに気づく人が増えてきました。これまで「単なる気分の落ち込みのせいだ」とばかり思っていた“やる気や自信の喪失”、“漠然とした不安感”といった日常生活での様々な不調の原因が、実は「うつ病」にあったことが後になって分かるという例も数多く見受けられます。つまり、実際には“普通の人々”に「うつ病」の症状が現れているにも関わらず、当人はそれを自覚(認識)していないというケースが非常に多いのです。
そのため、私たちが思っている以上に多くの人が「うつ病」であるか、または、その予備軍とも言えるのです。事実、私たち日本人が一生のうちで「うつ病」にかかる確率は5〜8%、つまり、100人中5〜8人の割合にのぼると言われています。この数字からも分かるように、実は、世の中には驚くほど「うつ病」の人が多いのです。
現在のようにストレスだらけの社会では、以前に比べても遙かに「うつ」症状に陥りやすく、こうした症状に悩んでいる人はますます、そして確実に増加しています。今では「うつ病」は“こころの風邪”と言われる程、私たちにとって身近な病となっています。もちろん、“こころの風邪”というくらいですから、「うつ病」は治療によって改善していける病気です。では、「うつ病」すなわち“こころの風邪”とは、一体どのようなものなのでしょうか?

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「うつ病」と“気分の落ち込み”の違いは?
人生では様々なことが起こります。そこでは幾度となく失敗や挫折、失恋、死別といった経験を通して「悩み」、「悲しみ」、「落ち込む」ことがあります。そして、こうしたことは生きていれば、誰もが経験することです。大抵の場合、このような「気分の落ち込み」は時間の経過とともに和らぎ、また、その「落ち込み」の原因となった出来事を振り返り、乗り越えることで、人は成長していきます。しかし、こうした憂鬱な気分を処理することができず、長期間継続して続いたり、頻繁に起こる場合が「うつ病」の始まりと言えます。ただ、「気分の落ち込み」と「うつ病」を見分けることは、とても困難です。実際、この2つの間に明確な線引きはなく、「気分の落ち込み」の延長線上に「うつ病」があります。ここで、「うつ病」と「気分の落ち込み」の違いをあげてみましょう。単なる「気分の落ち込み」の場合は、ある出来事の直後から落ち込みますが、「うつ病」の場合、その出来事が起きた後に少し遅れて落ち込みが始まります。そして、単なる「落ち込み」の場合は数週間以内で終息することが多く、回復の過程で原因となった出来事の体験を心理的に受け入れることができます。しかし、「うつ病」の場合、落ち込む期間が数週間から1年以上続き、出来事を受け入れることができません。

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うつ病とは?
「うつ病」とは、精神的なエネルギーの低下によって、気分の憂鬱、悲観的思考、絶望感、自殺願望などが現れ、日常生活や社会的活動に支障をきたしてしまう疾患です。「うつ病」は“こころの風邪”と呼ばれるくらい誰にでも起こり得る症状です。現在の主な治療法としては、薬物療法・精神療法・認知療法などがあります。そして、これらを使用することによって、うつ病は確実に治すことができます。
自覚症状としては、「気分が憂うつで、何をするのも億劫だ」「頭も体も動かない」「過去は失敗の連続で、現在の状況は悲惨。そして、未来には何の希望も持てない」などと感じてしまいます。また、他覚所見としては、落ち込み、自信喪失、判断力低下、行動力低下、何事も楽しめないなどが挙げられます。

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うつ病の症状
通常の健康状態を保っている「こころ」は、ストレスを受けて、傷ついたり、落ち込んだり、悲しんだりしても、すぐに元気になろうと反発する力が働き、感情や気分を回復させることができます。しかし、あまりにも大きく強いストレスや長期間にわたる刺激を受けるによって、「こころ」が大きなダメージを負ってしまうと、その負荷を跳ね返すことができなくなってしまいます。このような状態が「うつ病」です。
そして、「うつ病」には、大きく分けて<精神症状><身体症状>という2つの症状があります。

<精神症状>とは・・・
簡単に言えば、“こころ”の症状として現れる「うつ病」のことです。これは「感情面に現れる症状」「意欲・意思面に現れる症状」・「思考面に現れる症状」という3つの症状に分けられます。

「感情面に現れる症状」では・・・
笑顔が消える・何事も楽しめない・気分の落ち込み・憂うつで寂しい・なんとなく不安・イライラ・涙もろい・焦燥感に駆られるといった感情面での乱れが見られます。

「意欲・意思面に現れる症状」では・・・
引きこもり・身だしなみに関心がなくなる・やる気がなくなる・自殺を企てるといった全般的な意欲の減退が見られます。

「思考面に現れる症状」では・・・
思考力の低下・決断力の低下・自信の喪失など、日常レベルでの通常の思考が著しく困難になります。

<身体症状>とは・・・
その名の通り“身体”の症状として現れる「うつ病」です。大抵の場合、「うつ病」になると、上記の<精神症状>とともに様々な症状が身体に現れてきます。これは日常生活の中でも、非常によく見られるものです。なかでも、代表的な症状は「眠り」と「食欲」と「だるさ」に現れます。

「眠り」に関する症状としては・・・
寝つきが悪い・夜中に目が覚める・朝早くに目が覚めるなどです。こうした不眠(睡眠障害)の場合、眠れないことに焦りを感じ、余計に眠れなくなる悪循環に陥り、日中の集中力も低下していきます。また、逆に極端に睡眠時間が長くなる・日中ずっと寝てしまうといった過眠症状が現れることもあります。

「食欲」に関する症状としては・・・
空腹なのに食欲がわかない・好物なのにおいしく感じないなどの食欲不振が最も多く、ときには、味覚そのものが分からなくなることもあります。この場合も、逆に食欲過多となり、過食に陥ることもあります。

「だるさ」に関する症状としては・・・
疲れやすくなる・すぐ横になる・身体が重たく感じるなどがあります。

その他の症状としては・・・
頭痛・肩こり・腰痛・胃の痛み・下痢や便秘・息苦しさ・性欲減退・生理不順などの症状も見られます。

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うつ病の原因とは?
うつ病は、心理的ストレスと非常に深い関連があると考えられています。実際、その発現には、多くの場合、心理的あるいは社会的ストレスが誘因として関与していると言われています。うつ病の真の原因としては、現在のところまだ解明されていない部分も多いのですが、現段階では脳内の神経伝達物質に関する仮説的な原因論が広く知られています。この仮説では、脳内にある神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンを分泌する神経細胞が機能障害を起こし、情報伝達の際に脳内のセロトニンやノルアドレナリンの放出量が減少することによって起こると考えられています。そのため、うつ病の治療では多くの場合、このセロトニンやノルアドレナリンの量を増加させる「抗うつ薬」が用いられます。また、これ以外に遺伝的要素や性格・身体的・精神的問題が深く関わっていることも分かってきています。しかし、遺伝的要素を受け継いだ人のすべてがうつ病になる訳ではありません。うつ病の場合、その遺伝的基盤以外に環境や性格という要素も重要と考えられます。遺伝的要素が強い場合には、誘因がなくても発病すると言われていますが、遺伝的要素が弱い場合は、性格・身体的・精神的問題が誘因となって発病することもあるようです。身体的・精神的問題とは、過労や職場移動、経済問題、妊娠、出産、精神的ショック、近親者との死別、転居、家庭内葛藤、身体疾患などを指します。

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うつ病の分類
うつ病の分類にはいくつかありますが、スイスのキールホルツ教授による診断分類によると、うつ病は病因別に大きく以下の4つに分けられます。

◇身体因性うつ病 →詳しく
◇内因性うつ病 →詳しく
◇心因性うつ病 →詳しく
上記以外のうつ病
 →詳しく

◇身体因性うつ病
身体因性うつ病とは、身体の病気や服用している薬物の影響により起こるうつ病のことです。身体因性うつ病を引き起こす身体の病気としては、糖尿病、慢性腎不全、潰瘍性大腸炎などの消化器疾患、パーキンソン病、てんかん、結核、脳動脈硬化、慢性関節リウマチ、脳腫瘍、インフルエンザ、更年期障害などが挙げられます。また、病気治療のため服用している薬物の副作用によっても、身体因性うつ病を引き起こすと言われています。副作用としてうつ状態をもたらす薬としては、いわゆる痛み止めから、抗生物質、抗ガン剤、抗精神薬、降圧薬、副腎皮質ホルモン、排卵抑制剤、慢性ウイルス性肝炎に用いられるインターフェロンなどが挙げられます。同様の症状を誘発することが明らかになっています。

◇内因性うつ病
内因性うつ病は体質や遺伝など、内的な要因で起こるうつ病のことです。原因がはっきりと解明されていないのですが、身体の内部的要因が関係していると考えられていることから「内因性」と呼ばれています。内因性うつ病は、うつ状態のみが単独で一定期間繰り返される「単極性うつ病」と、うつ状態と躁状態が周期的に繰り返される「双極性うつ病」(いわゆる躁うつ病)、中年(45歳)以降に現れる単極性うつ病の「退行性うつ病」の3タイプに分けられます。

◇心因性うつ病
心因性うつ病とは、悩みや不安をはじめ、何らかの心理的葛藤や精神的ショックなど、いわゆる心理的ストレスを起因として起こるうつ病です。心因性うつ病は、複数のストレスや無意識レベルのストレスが原因となっている場合が多いため、原因の特定が難しいとされています。ストレスの多い現代では、心因性うつ病の患者数が最も多く、依然として増加傾向にあると言われています。
また、心因性うつ病は、患者さん自身の無意識な精神的葛藤が原因で起こる「神経症性うつ病」と、長期間にわたる心理的ストレスが原因で起こる「疲弊性うつ病」、特定のストレスや体験が原因で起こる「反応性うつ病」の3タイプに分けられます。

上記以外のうつ病
◇軽症うつ病

これまでご紹介したうつ病と健康な状態の境界的な位置付けにあるのが「軽症うつ病」です。軽症うつ病は、重症のうつ病ではなく、比較的症状の軽いうつ病と言えます。原因や症状は心因性うつ病とほぼ同じですが、軽症うつ病の場合、精神的症状に比べて身体的症状の方が多く現れると言われています。

◇仮面うつ病
軽症うつ病とほぼ同じ定義とされているものとして「仮面うつ病」があります。「仮面うつ病」とは、不眠、倦怠感、肩こり、めまい、腰痛、腹痛、食用不振などの身体症状ばかりが前面に現れ、「抑うつ気分」などの精神症状が隠れて出てこないうつ病のことです。仮面うつ病は20〜50歳代、なかでも30歳代が最も多く、働き盛りの世代に特有とも言える症状です。これは身体の症状を治す科(内科・外科・産婦人科など)で診療を受けても、異常なしと診断されるか、自律神経失調症、心身症、神経症、更年期障害やメニエール病などと診断されたり、原因が分からない場合が大半です。このような場合には、隠れている「こころ(精神)の症状」を明らかにして、「こころ」に対する治療を行うことで、身体症状が改善されます。

◇その他
その他にも、うつ病の症状としては様々なものがあります。例えば、月経前緊張症・身だしなみ症候群・週末うつ病・結婚後悔症・飛行機雲症候群・燃え尽き症候群・出産後うつ(マタニティブルー)・朝刊症候群・引っ越しうつ病・昇進うつ病・微笑みうつ病・上昇停止うつ病・更年期うつ・定年前症候群・さびつき症候群・出社拒否症・長期不況症候群・サンドイッチ症候群・サザエさん症候群・スーパーウーマン症候群・空の巣症候群・ヤマアラシ症候群・ヤセガエル症候群など。このようにうつ病はそれぞれの症状や原因の違いによって、様々な名称で呼ばれることもあります。

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うつ病コラム

「うつ病」になりやすい原因は遺伝子の違い!?
私たち人間にはストレスを受けたとき、うつ病になりやすい人となりにくい人がいると言われています。なぜ、うつ病になりやすい人がいるのでしょうか?その答の1つは、脳内の神経伝達物質の一種であるセロトニンの放出を調整する遺伝子のタイプの違いであることが、最近の研究で分かってきました。
これは米ウィスコンシン大・英国・ニュージーランドの共同チームによって、2003年7月18日付の米科学誌サイエンスに発表されました。
人間は神経伝達物質セロトニンのレベルを調節する「5HTT」という遺伝子を2つ持っており、これは人によって短いタイプと長いタイプがあるということです。この研究によると、ニュージーランドに住む21歳から26歳までの847人を対象に遺伝子を調査したところ、2つとも長いタイプの「5HTT」を持つ人がうつ病になる率は17%だったのに対し、短いタイプを1つまたは2つ持つ人のうつ病発症率は33%という結果が出ました。つまり、「5HTT」遺伝子の短いタイプを持つ人はうつ病になりやすく、反対に長いタイプだけを持つ人はうつ病になりにくいのです。このように現段階の最新の研究では、長いタイプの「5HTT」遺伝子には、ストレスに対する抵抗性を高める機能があるのではないかと見ているようです。


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