脱毛症にもさまざまなタイプがあります。
最も多いのは、髪の生え際や頭のテッペンが脱毛する男性型脱毛症です。ふつう、後頭部は脱毛しません。これは男性特有の脱毛症ですが、男女を問わない円形脱毛症もあります。
その他、なにかの病気の合併症として脱毛症になったり、抗ガン剤などの薬剤の副作用として脱毛症になったりする場合もあります。
タイプが違うということは原因が違うということで、現代医学は、男性型脱毛症は男性ホルモンの影響で、円形脱毛症はストレスの影響だというような説明をしています。
しかし、男性型脱毛症がホルモンの影響だとすると、おかしな話になります。というのは、男性ホルモンは胸毛などの体毛を濃くするのに、なぜ、髪の毛だけは脱毛させるのかという疑問です。もっと極端な話、髪の毛があっても後頭部は脱毛させずに、なぜ、髪の生え際や頭のテッペンだけ脱毛症が進むのか、という疑問です。現代医学は、その疑問に明白に答えていません。ということはホルモンの影響だけでは説明がつきません。
そこで皮脂犯人説を唱え、男性型脱毛症も円形脱毛症も、すべて皮脂による毛穴が塞がれたことに原因があると唱える人々もいます。これなら、男性型脱毛症とともに円形脱毛症の原因も説明できます。そこで、皮脂犯人説を唱える人々は、皮脂を取り除くための育毛剤を作って販売したり、あるいは、皮脂をとり除く頭皮マッサージ、頭皮洗浄などの治療院を開いています。
ただ、脱毛の皮脂犯人説には、重大な疑問が一つ。それは「もし皮脂が脱毛症の犯人だとするなら、女性の円形脱毛症が、皮脂の分泌が衰えた(少なくなった)高齢に多い理由をどう説明するのか」という疑問です。この疑問に完全に答えている例はなかなかありません。
薄毛・脱毛の代表例である男性型の脱毛症は、例外なく、髪の生え際と頭頂部が薄くなり脱毛します。円形脱毛症などの病的な脱毛でない限り、頭の後ろには髪の毛が残っています。実はこれは不思議。なぜなら、髪の生え際といい、頭頂部といい、頭の後ろといい、わずかに離れているだけなのです。
脱毛症について書かれている本は、これはホルモンの影響の違いと説明していますが、なぜ髪の生え際や頭頂部と、そこからわずかに離れているだけの頭の後とでは影響の仕方が異なるのでしょうか。不思議でした。
その「不思議」が解明できたのは、中国山脈の緑が酸性雨のために枯れてしまったというニュースを目にしてからでした。
中国山脈には、大陸からの偏西風に乗って亜硫酸ガスなどの酸性の物質がたくさん流れてきます。そして、中国山脈によって風がさえぎられ、そこに雨となって降ります。酸性雨は植物の大敵です。植物を枯らします。
でも大自然には、生命を再び誕生させようとする自然の回復力があります。木や草が枯れ、空白になった大地には次の植物が新しく生えようとします。すぐに、そこに新しい植物が芽吹こうとします。私は、後に述べるような理由から山の自然にはちょっと詳しいのですが、なにかの原因で大地が空白になったとき、すぐにそこに新しい植物が生えてくる生命力の逞しさにはビックリさせられたものです。山道など、しばらく自動車や人間が通らないとすぐ、木や草に覆われてしまいます。
ところが、酸性雨のために枯れたところには、新たな木や草は生えません。植物が新たに芽を出そうとしても酸性雨にまみれた土壌が、目の出る前にそれを枯らしてしまうからです。つまり、植物の生える「毛穴」が塞がれてしまうのです。酸性雨のためにハゲ山になってしまった山を何度か見たことがありますが、頂上付近の平らになっているところは、見事なほど完全に緑がなくなっていました。
でも、斜面はハゲ山になっていません。斜面の植物だって寿命が終われば枯れます。でもすぐに次の新しい芽が芽生え、斜面は常に緑で覆われます。斜面だけに酸性雨が流れ、そこに溜らないからです。植物の生える「毛穴」が酸性雨にまみれた土壌でふさがれなかったからです。それと同じではないでしょうか。
山の頂上付近の平らなところが、人間なら髪の生え際や頭頂部に相当します。山の斜面が、人間なら頭の後ろに相当します。
髪の生え際や頭頂部では「酸性雨」が溜りやすくなり、「酸性雨」にまみれた土壌が毛穴をふせぎます。頭の後ろでは「酸性雨」が流れます。だから、髪の生え際や頂上は薄毛・脱毛になり、頭の後ろはそうならないのです。言葉をかえるなら、髪の生え際や頭頂部では、髪の自然の回復力が邪魔されているのです。
だったら「酸性雨」にまみれた「土壌」をとりのぞき、私たちの身体がもともと持っている自然の回復力がのびのび全開するようにすれば、髪の毛も自然によみがえってくる。私は、これまでの経験からそう確信しています。
次に注目していただきたいのは、円形脱毛症です。円形脱毛症は男性型脱毛症と異なり、男女をとわずに悩まされる脱毛症です。だったら、これこそ性ホルモンの作用では説明できません。そこで考えられるのは、よはり毛穴がふさがって髪の自然な再生産能力が阻害されるから、円形脱毛症になるという考え方。
ストレスが円形脱毛症の原因だということは間違いないでしょう。具体的には、自律神経の働きを狂わせ、そのために毛穴にもなにかが起こるのです。そのなにかのなかには、皮脂の分泌の増加もあるでしょう。でも、もっと大きいのは、窒素化合物や硫黄化合物などの老廃物が増えていることです。
脂汗という言葉があります。脂汗とは、心理的に追い込まれたときに流れる脂っこい汗です。その中には、窒素化合物であるアミノ酸がさらに複雑な化合物に変化した老廃物や硫黄化合物などの老廃物、コレステロールの老廃物なども含まれています。だから脂っこいのです。
ところで精神的に追い込まれるというのは、具体的にはストレス過多の状態になることです。ストレス過多になればそのストレスに備えるために自律神経は過剰に興奮し、体内の生命活動は過剰に亢進されます。細胞における新陳代謝の速度も速まり、より多くの老廃物ぐぁつくられます。発汗も多くなります。
その汗に混じって、過剰生産の老廃物が毛穴から排泄され、毛穴をふさぐ。これが自律神経失調症の症状の一つとして円形脱毛症が生まれる原因でしょう。となれば、円形脱毛症の直接の引き金も、老廃物(と皮脂)によって毛穴がふさがれたからということになり、洗い粉で老廃物と皮脂を洗い流せば男性型脱毛症だけではなく、円形脱毛症の場合も髪がよみがえってくるというのは、いわば当然の話なのです。
-参考文献- 髪の毛がよみがえる Dr.野口方式のすごさ (DSP出版)より抜粋
