塩分(塩化ナトリウム)は人間の体内に常に一定の割合で含まれており、生命維持に欠かすことのできない重要な役割を担っています。運動をしたり、真夏など気温の高い時に大量に汗をかくと、急激に塩分が失われるため注意が必要ですが、通常の食事や日常生活を送るうえでは塩分が欠乏することはありません。それどころか、現代の食生活では塩分過剰が課題となっています。
なぜ塩分の摂りすぎがいけないのでしょうか?さまざまな弊害の中でも特に問題視されるのが高血圧です。塩分が増えると、体は塩分濃度を一定に保つために水分をため込もうとします。その結果、血液の全体量が増え、心臓から送り出された血液は血管に強い圧力をかけながら全身をめぐるため、血圧が上昇するのです。
また、とりすぎた塩分を排出するために血管が収縮しやすくなることや、ナトリウムが血管壁の細胞に入り込むことで血管がむくんで狭くなることも、血圧を上昇させる原因と考えられています。
減塩することで、塩分の過剰摂取によって生じる健康へのリスクを下げることができます。リスクには、高血圧、腎機能の低下、骨粗しょう症、胃がんなどが挙げられ、中でも高血圧によって動脈硬化が進行すると、脳卒中や心不全など命に関わる病気を引きおこします。こうしたリスクは生活の質を下げるだけでなく、要介護状態をまねく恐れもあります。
脳卒中は半身麻痺や言語障害などの後遺症が残ることもあり、要介護状態になる原因の中で2番目に多いのです。また、骨粗しょう症が進行することで転倒などの軽い力で骨折してしまうリスクが高まります。転倒・骨折は要介護状態になる原因の中で4番目に多く、脳卒中と合わせると要介護原因の約30%にもなります。(下記円グラフ参照)
減塩は、こうした病気や要介護のリスクを遠ざけることが期待できるのです。
血圧が気になる方、普段から塩分を摂りすぎている方、中高年の方はぜひ日頃の減塩にお努め頂けると幸いです。
※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。
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