「気分が晴れない」「なんとなくイライラする」一更年期になると、理由のはっきりしない心や体の不調に悩まされることが増えてきます。その主な原因は、女性ホルモンのバランスの乱れです。
更年期には卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が急激に減ります。エストロゲンは、2大「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンとオキシトシンの分泌を促す働きがあります。そのため、エストロゲンが減ると、心を穏やかに保つホルモンも減少してしまうのです。
でも大丈夫!幸せホルモンは、ちょっとした生活の工夫で自分で増やすことができます。更年期と上手につき合うための、意識して「幸せホルモン」を増やす生活習慣をお教えします!
セロトニンは、脳内で働く神経伝達物質のひとつで、感情、気分、睡眠、食欲など、人間のさまざまな機能に深く関わっています。「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定や自律神経のバランスを保つために重要な役割を果たしています。
このセロトニンが不足すると、気分の落ち込み、不安、イライラ、不眠、食欲不振、慢性的な疲労感など、心身に多様な不調が現れることがあります。とくに更年期には、女性ホルモンの変化によってセロトニンの分泌が不安定になりやすく、気分の波が強く出る一因にもなります。「なぜこんなに不安定なんだろう」と感じたら、まずセロトニン不足を疑ってみてもよいかもしれません。
セロトニンは、日光を浴びることや適度な運動によって活性化される他、その約9割は腸で作られるため、腸の状態がよくなる食生活が重要です。
腸は単なる酒化器官ではなく、「第二の脳」とも呼ばれるほど、脳と深くつながっています。つまり、腸内環境を整えることがセロトニン分泌を促し、不安でアンバランスになった気持ちを穏やかに保つ、大切な土台になるのです。
もう一つの幸せホルモン、オキシトシンは、「愛情ホルモン」や「絆ホルモン」とも呼ばれ、人との触れ合いや温かいコミュニケーションによって分泌が促される特徴があります。逆にオキシトシンが不足すると、孤独感やイライラ、不安定さなどを感じやすくなります。
もともとオキシトシンは「出産・育児の際に分泌されるホルモン」として知られていましたが、近年の研究により、スキンシップや人との信頼関係によって更年期以降でも十分に分泌されることがわかってきました。
とくに更年期は、エストロゲンの減少により、気分の落ち込みや情緒不安定が起こりやすくなりますが、オキシトシンにはその心の揺らぎを和らげ、安心感を育む力があると注目されています。
また、人にプレゼントを贈ったり、親切にしたり、誰かを手助けしたりといった「思いやりの行動」でも、体内のオキシトシン量は自然に増加します。日々の小さなつながりや優しさが、自分自身の心を穏やかに保つ鍵となるのです。
※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。
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