健康コラム
Healthcare Column.

副作用の連鎖を断ち切るために
~薬に頼る前に知っておきたい、「心の土壌」を耕す知恵~

眠れない日が続くと、薬に頼りたくなることがあります。けれど、眠気やだるさが翌日に残り、また別の不調につながることも。
薬はつらい時の助けになりますが、頼りきる前に、体と心の状態を見つめ直すことも大切です。

負の連鎖「処方カスケード」

精神科の薬を飲んでいると、心は少し落ち着いても、別のつらさが出てくることがあります。
「前より落ち着いたはずなのに、なんだか自分の体ではないみたい」と感じる方もいるのではないでしょうか。

そこで気をつけたいのが「処方カスケード」。薬の副作用で出た不調に対して、さらに別の薬が増えていく状態のことです。
薬が増えるほど、だるさや眠気、胃の不調などが重なり、何が原因なのかわかりにくくなることがあります。
心のケアを薬だけに任せきりにする前に、自分でできる「心と体の整え方」を考えていきます。

 ▼処方カスケードの事例

 (1) 薬を飲み始める(例:血圧を下げる薬、気分を落ち着かせる薬など)
 ↓
 (2) 薬の副作用が出る(例:胃がもたれる、頭がぼんやりする)
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 (3) 副作用だと思わずに出てきた不調を自分のせいだと誤解する
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 (4) その不調を抑えるために新たな薬が追加(例:胃薬、頭痛薬など)
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 (5) 新たな薬にも副作用がでる(例:便秘、吐き気など)
 ↓
 (6) さらに、その副作用を抑える薬が出る

気になったらまず主治医と相談

「薬の副作用で調子が悪いのかもしれない」と感じても、自己判断で服用を中止すると、不調が強く出ることがあります。
まずはお薬手帳を1冊にまとめ、精神科以外の薬も含めて、今飲んでいる薬を主治医や薬剤師に見てもらいましょう。

血圧は内科、腰の痛みは整形外科、眠れない時は心療内科というように、複数の病院にかかっていると、薬の重なりに気づきにくくなります。
それぞれの医師が必要と判断して出した薬でも、結果として似た成分を重ねて飲んでしまうことがあるので注意が必要です。

薬に負けない心の土壌づくり

心の治療で大切なのは、薬との付き合い方を、少しずつ整えていくことです。まずは、薬だけに頼らず過ごせる体の土台をゆっくり育てていきましょう。

眠り方、食べ方、日中の過ごし方、心を休ませる時間、小さな習慣を見直すだけでも、体のリズムは少しずつ変わっていきます。
毎日の暮らしを整えることが、荒れた土を整えるように、自分の中にある癒やす力を取り戻す手助けになります。

薬は歩き出すための杖。そればかりに頼らない

薬は、困ったときに支えてくれる一時的な「杖」のようなものです。薬の力を借りることで眠れたり、日常の力を取り戻せることもあります。
ただ、頼りきりの関わり方をしすぎてしまうと、今度は身体が動きにくくなることがあります。
眠るため、落ち着くため、胃を守るため、だるさを抑えるため。ひとつひとつは必要でも、気づけば薬がないと不安、という状態になってしまうこともあります。

大切なのは、薬だけに任せきりにせず、自分の体と心が本来持っている回復する力にも目を向けることです。
体を少し動かしたり、誰かに話を聞いてもらったり。そんな小さな習慣が、弱った心の土壌を少しずつ耕してくれます。
今日できることを、ひとつだけ始めてみませんか。その積み重ねが、未来の心を、今より軽くしてくれるかもしれません。

薬だけに頼らない暮らしの中でできること

(1) 朝ごはんに「トリプトファン」を取り入れる
朝に摂り入れたトリプトファンは、日中の元気を支え、夜には眠りを誘う成分へと変化します。洋食ならバナナヨーグルト、和食なら卵と味噌汁、納豆ごはんなど。まずは取り入れやすい組み合わせから始めてみましょう。

(2)「光」と「リズム」を味方にする
朝、目が覚めたらカーテンを開け、窓際で3分だけ光を。体内時計が動き出し、心を整えるきっかけになります。
日中はガムを5分ほど噛むだけでも十分。規則正しい噛む動きは、心を整える働きを助けるリズム運動です。

(3) 気分を落ち着かせる「天然ハーブ」
カモミールやラベンダーなどのハーブやアロマは、心を落ち着けるものとして古くから親しまれてきました。薬の代わりではありませんが、香りや飲み物でのひと息は、心を回復モードへ切り替える手助けになります。

「サプリメント」という無理のない選択肢も

心の不調を見る専門家が大切にするのは、症状だけではなく、その人の体を支える土台です。眠りの質、栄養状態、めぐり、腸内環境、免疫の働き。心は気持ちだけで動いているわけではなく、体の状態とも深くつながっています。
だからこそ、薬でつらさを抑えるだけでなく、日々の中で心と体を支える成分を補っていくことも大切です。

メンタルケアのサプリメントは薬の代わりではありませんが、副作用の不安もなく、あなたを支える補助役になります。 無理に頑張るのではなく、今の自分に必要なサポートを足してみる。それは心の土壌を整えるための現実的な選択肢です。

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。

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