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Improve intestinal environment

腸環境を整えて免疫力UP!

新型コロナウイルスに関連した感染症対策。基本は手洗い、うがいと言われています。しかしもう一つの基本、「免疫力」について、皆さんはどれくらい意識をされていますか?どんな感染症でもそうですが、菌が身体に入ったとしても、免疫力を高めていれば、身体への悪影響を食い止めることができます。

そしてその免疫力の鍵を握るのが腸内環境。一見、無関係に思えるインフルエンザや肺炎も、腸の調子が密接に関係していることが、最新研究でわかってきています。今回は健康の要となる、腸の本当の姿をご紹介します。

健康な腸は全身の免疫を育てる訓練場

まず基本的に腸は、食べ物の通り道であると同時に、病原菌やウイルスなどが常に入り込んでくる危険な場所です。悪い菌は栄養や水分と混ざって入ってくるので、腸は吸収を司る腸壁のすぐ内側に「免疫細胞」を大量に密集させて、外敵の侵入に備えています。最新の研究では、腸はそこに全身から集めた免疫細胞をさらに高める訓練場をつくっていたことがわかってきたのです。

腸壁には消化・吸収する穴とは別に、ウイルスや毒物のかけらなどをわざわざ引き入れる別の入り口があります。そこに引き込んだ異物を待機させている免疫細胞たちに触れさせ、その有害な特徴を常に学習させているのです。

ます。最新の研究では、腸はそこに全身から集めた免疫細胞をさらに高める訓練場をつくっていたことがわかってきたのです。

こうした訓練により免疫細胞は菌を倒す武器となり「抗体」を事前に身に着けます。

その後、免疫細胞は腸内で守りを固めるだけでなく、血液やリンパ管によって全身に運ばれ、各所で敵を見つけると抗体を使って攻撃し、感染症から私たちを守ってくれるのです。

しかし、普段の食生活が食べ過ぎや、脂肪や加工食品にかたよっていると、免疫細胞は腸内だけでフル回転となります。とても訓練をする余裕はなく、新しい菌のために鍛えられないままに、出動する他ありません。お腹の調子、腸の健康に普段から気を配っておくことは、怖い感染症に打ち勝つ「強い免疫」を持つ秘訣なのです。

免疫のエネルギーを生み出す腸内細菌

免疫細胞が十分に働くには、そのエネルギーとなる様々な栄養が必要です。ビタミンC、ビタミンD、亜鉛、マグネシウムなどは免疫細胞の力となる栄養素として有名です。しかし、それらの成分をただ摂取すれば免疫が高まるというわけではない、ということもわかってきました。 腸内にいる免疫細胞にエネルギーを渡すのはおよそ100兆個も棲むといわれる腸内細菌の役割です。しかしそこが悪玉菌優位になっていると、免疫細胞はエネルギー補給ができなくなっていきます。

醗酵食品や穀類、豆類といった腸内細菌の中の善玉菌のエサを豊富に摂ることで、免疫細胞に必要な栄養成分はちゃんと必要な分だけ行き渡るようになるのです。

腸内細菌はとてもデリケートでストレスや運動不足でもその働きが弱ります。そうなると免疫細胞にエネルギーがいかず、免疫力が十分に発揮できないことに繋がります。

全ての臓器と会話する腸の司令塔的役割

もちろん免疫をつくったり働いたりする場所は腸だけではありません。特に菌が最初に入ってくる鼻や口は重要ですし、内臓でも免疫はつくられ、育てられます。ですが、それらの免疫細胞を身体の様々な部分に振り分けているのも、実は腸である、ということもわかってきています。

人間の身体は口から肛門まで一本の管が通っており、腸はその中心です。肝臓や心臓、脳といった臓器は、管を通じて必ず腸と繋がりを持っています。最新の研究では、腸はそれぞれの臓器に対して、管を通じてホルモン(メッセージ物質)を発し、臓器もそれに答えるように、反応を示す、いわばコミュニケーションを行っていることが発見されました。その腸と臓器の会話の中でもっとも需要なことは、各臓器からのSOS。何かトラブルがあったときに、腸は瞬時に判断して免疫や栄養、血流などを調整して救援に向かわせるのです。

その腸の出すメッセージ物質の分泌に欠かせないのが腸内細菌。腸内細菌のバランスが常によい状態にあることで、メッセージ物質は円滑に分泌され、健康を最前線で守ることができるのです。

※当記事は2020年5月イキイキ生活通信137号に掲載された内容を再載しております。

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