イキイキ生活通信/読み物
Let's learn about
the autonomic nervous system.

自律神経を知ろう!「心身のバロメーター。交感神経」

昨今、原因不明の体調不良に悩まされているという人があとをたちません。だるさや疲労感、食欲不振や胃もたれ、イライラやうつなど、現代人の持つ悩みは、交感神経過剰が原因となっていることが多くあります。

交感神経過剰を招く主な要因

原因1. 働きすぎ
コロナ禍によって普及したリモートワーク。残業が減って働きやすくなったという方もいる一方で、これまでの段取りでは上手くいかず、実質的な仕事時間は増えた人が多いそうです。
もともと交感神経が日中働くのは、動物が狩りをするための本能のようなもの。現代では仕事がそれに当たります。その他にも親子のコミュニケーションや友人との付き合いなど、急激なデジタル化によって「いつでも」「どこでも」行えることは、交感神経優位を常態化してしまうのです。

原因2. 緊張・不安が常に続く環境
仕事のストレスや、家族のストレス、自らの悩みをリフレッシュする(副交感神経を高め、交感神経を休める)ために、娯楽があります。
しかし、コロナ禍の今、旅行や会食、観劇やスポーツ観戦で心をリラックスさせるタイミングを見失いがち。心が休まるときがなく、結果、交感神経過剰になりやすいのです。

原因3. 核家族化・団らんの減少
現代人の生活は、外を歩けば、目には視覚の刺激が、耳には様々な音が襲ってきます。ただ電車に乗るだけでも交感神経は高まってしまうと言ってもよいでしょう。だからこそ交感神経を落ち着かせる、自宅で過ごす空間、心を休める団らんの時間は大切です。安心感に満ちた会話やくつろぎは過剰になった交感神経を整えてくれます。
特に小さなお子様をお持ちの方は、一日の中でTVを消し、目と耳を休める静かな時間を作りましょう。親子共に過剰になった交感神経を落ち着かせることがわかっています。

交感神経って、どんな神経?

脳は人体の司令塔。その指示を伝えるため心臓や肺、消化器などの各器官と繋がっているのが神経です。その中でも「交感神経」は、各臓器を“活動モード”にする神経で、気温変化や外的から身を守るため、脳のコントロールを介さずにたくさんの器官を瞬時に刺激し、活発化させます。
交感神経と対になる「副交感神経」は、交感神経が刺激しすぎた器官を落ち着かせるブレーキの役割を果たすため、まずこの交感神経が正常に働いているかどうかが、心身の健康のバロメーターにもなる、重要な神経です。

交感神経は緊張や興奮を促すため、様々な要因で働き続ける(過剰状態がずっと続く)と、イライラや怒りなど攻撃的な感情が現れ始めます。特に更年期に差し掛かると、年齢に応じて訪れるホルモンバランスの変化によって、男女問わず、自律神経が極端に傾きやすくなる性質があります。感情の起伏が激しくなり気持ちを冷静にすることができなくなったり、体調を一定に保つことができなくなったりします。

交感神経は昼、自然と活発に働くようになっている

自律神経は「日内変動」というリズムがあり、朝から日中は、活動のため交感神経優位に、夕方から夜中は睡眠と休息のため副交感神経優位に活動します。しかし昼夜逆転の生活や休息をとらない生活をしていると、交感神経ばかりが働くようになるため、注意が必要です。特にスマートフォンのブルーライトは交感神経を刺激しますので、夜の使用は気を付けましょう。

「交感神経過剰」によって起こる身体の変化

毎日の生活が過剰に頑張りすぎていたり、常にストレスにさらされていたりすることで、交感神経が過剰となっている場合、まず「筋肉」と第二の脳ともいわれる「腸」にわかりやすい反応が現れます。慢性的な肩こりや筋肉痛、便秘や下痢に悩んでいる方は、交感神経が働きすぎている可能性があります。

交感神経の働きすぎは冷えやこり、脳・心臓に負担が

交感神経ばかりが優位に働き続けるのを放置すると、血管が収縮し血流が悪くなります。血管壁は固くなり、血液はドロドロとなって血液中の老廃物や疲労物質の代謝が滞るため、大量に「活性酸素」が発生しやすくなるのです。高血圧が慢性化した状態で起こる血液の酸化は、血管にダメージを与え冷えやこりを招くだけなく、心疾患や脳血管疾患を起こす原因となります。

意外と簡単!?今日からできる交感神経の落ち着かせ方

乱れた自律神経は生活習慣の改善で対処が可能です。まずは簡単に実践できる以下の方法を毎日試してみましょう。
 ・目覚めたらコップ一杯の水を飲む
 ・頭を使う仕事は朝イチに
 ・ストレスを感じたら一箇所だけ片付け
特にお掃除はメンタルケア(交感神経を落ち着かせる)の有益な方法として、近年注目を集めています。また偏った食生活により臓器の機能をサポートする栄養素が不足したり、食事の時間が不規則だったりしても、交感神経は過剰になりやすくなるので注意しましょう。

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※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を再載しております。

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